悲しい思い出

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投稿者:はーたんさん

これは、最近祖母が思い出して語ってくれた実話です。

時代は、戦争の頃。

場所は、兵庫の田舎の村です。

ある田舎の村の川沿いに、若い夫婦が住んでいました。
妻は、身重の体でした。
ある日、夫の元に赤紙(戦争の召集令状)が届きました。

夫は覚悟を決めて、身重の妻は泣く泣く夫を戦争に見送りました。

夫が戦争に行って、数ヵ月後、妻は出産しました。
元気な子供が産まれて、母子で夫の帰りを待っていました。
しかし、妻の村に嵐が襲ってきて、川が氾濫して
妻と子供は家ごと流されてしまいました。
嵐の被害は妻の家だけではなく、当時の村は
相当なダメージを受けていて、何人も人が亡くなりました。

嵐がおさまると、川に流されて亡くなった人や、土砂に埋もれて亡くなった人の

捜索と葬儀が始まりました。

しかし、困った事に妻と子供の遺体だけはどんなに捜しても見付かりません。

村人は、妻と子供の捜索を打ち切りました。

そして終戦になって、夫が帰ってきました。
夫は村人から妻と子供が嵐で亡くなったと聞かされて、
絶望に打ちひしがれて暮らしていましたが、

周囲の進めで数年後には再婚して村を出て行きました。
そして、何年か経ったころ、妻が住んでいた家の下流の方に
駐在所が建設されました。
駐在さんが、夜寝ていると、夜な夜な
女性と赤ちゃんの泣く声が聞こえてくるのです。

時には、昼夜にかかわらず白い物が横切るのも目撃されるようになりました。

駐在さんからそんな話を聞いた村人は、

「もしかしたらあの時見付からなかった妻と子供かもしれない」

と思って お坊さんを呼んで供養しました。

しかし、鳴き声は一向におさまる気配はありません。
今度は、駐在所の裏の土手を妻と子供の骨があるかもしれないと思って
掘り返してみました。

村人何人かで、数日かけて掘り返したりしていると見付かりました・・・・。

かなり骨とは分らなくなってはいるものの、おそらく人間の骨です。

小さな骨は多分赤ちゃんの骨だろう(たぶん)と言うことでした。
そして、もう一度お坊さんに供養をしてもらうと
もう泣き声も聞こえなくなり、白い物も見なくなりました。
きっと、駐在さんが夜な夜な聞いた泣き声は、遺骨を見つけてほしかった

妻と子供の願いだったのでしょう。
戦争の影には、こういった犠牲者がいたことを
忘れないでほしいと祖母は言ってました。

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