投稿者:しゅういち号さん
まだ、私が自衛隊に勤めていた頃の話です。
教官が自分のレンジャー訓練の時の話をしてくれたんです。
教官は、2人一組になって深夜の演習場を偵察のために歩いていたそうです。
その夜は、雨が降っていて寒かったのだそうです。
演習場の中の細い山道を2人は周囲を警戒しながら歩いていました。
前方から雨の中を歩いてくる人影が見えたのだそうです。
2人は、とっさに草むらに身を隠しました。
敵に見つかってはいけないからです。
2人は、草むらの中でじっと息を潜めて道路を見つめていました。
だんだんと、人影が近づいてきました。
しかし、同じように訓練をしている敵役の人間でないことがわかりました。
なぜなら、その人は傘をさしていたからです。
草むらの中の2人は、不思議に思いましたが
そのままじっと息を潜めてやり過ごそうと思っていました。
近づいてくる人影がだんだんはっきりとしてきたました。
その傘をさした人影は、髪の長い女性だったそうです。
2人は、草むらの中で顔を見合わせてふるえていたそうです。
富士の演習場です。
こんな夜中に、女性が一人で歩いているわけがありません。
2人は草むらから出ると、後ろを振り返ることができなかったそうです。