投稿者:桜さん
桜の家の隣には、もうずっと昔から大きな池があります。
まぁ、例にもれず色々と噂があるのですが、
実際の所は古くから使われている農業用水だということです。
ただ、火のないところに煙は立たないわけで。
少なくとも桜がそこに住むようになってから現在までに
数人の方がその池で命を落としているのは確かです。
その池は縦に長く、池沿いにずっと家が立っているのですが、
その近辺では数年に一度の割合である噂が流れるのです。
内容は「濡れた女が勝手口に立っていた」と言うもの。
池沿いの家には、池側に勝手口があり、
中には必要もないのに池へ降りる梯子がついている
家もあるのでそれらしい雰囲気ではあります。
昼間はそうでもありませんが、夕方近くになってくると
側に寄るのはちょっと避けたい空気が流れています。
実際、その周辺のゴミを回収するバイトをしている人に
聞いたのですが(この辺りは夜回収されています)
ゴミ回収の人達の間ではこの地区は結構有名な「出る」場所らしく、
お払いをしたこともあるそうです。
しかし怖がっていたのではそんな場所には住めません。
今ではかなり感覚も麻痺気味なのですが、何度か怖いなって思うことがありました。
それは、悲鳴です。
1度目は中学生の時、2度目はつい最近のことです。
1度目の時は夜、自室で寛いでいると突然、
「きゃーーーーーーーーっっ」
と女性の悲鳴が聞こえたのです。
何事かと思いすぐにベランダに出て見ましたが、
付近の家から様子を見に出てくる人の気配もなく、静かなものでした。
家族に聞いてもそんなの聞こえなかったと言われ、
気のせいかと思っていたら、
翌日やはり池沿いに住んでいる幼馴染みのお父さんも聞いたということでした。
2度目もやはり夜自室にいた時。
同じ様に女性の悲鳴のようなものが聞こえました。
すぐに階下の居間にいた母に、今何か聞こえなかったかと聞くと、
母も聞いたというのですぐに外へ出てみましたが、やはりなんの変化もなく。
空耳ならいいのですが、何となく気味が悪い悲鳴でした。