投稿者:Lucinoさん
今から10年位前の話です。
ちょうどお盆の頃でした、私の田舎は海のすぐそばにあります。
漁船の待避港になっている港の隣は磯になっており、
昔はそこに「海の家」のような建物があって、
食事や着替えやシャワー、トイレ等の設備が整っていました。
もうずいぶん前に(港の整備が始まった頃だったか)
その「海の家」は営業をやめてしまい、
その頃には元の大きな建物は取り壊され
なぜかトイレとシャワー室だけが使われないままに残っていました。
その「海の家」を経営していた家には高校生だか
大学生位の孫がいて、ちょうど夏休みでお盆と言うこともあり、
いとこ達が遊びに来ていました。
みんな同じくらいの年の男の子達です、
その晩は暑い熱帯夜でした…。
誰から言うともなく「肝試しに行こう」と言う話になりました。
それならかつての「海の家」の所まで
それぞれ行こうと言う話になり、懐中電灯を持って肝試しに行きました。
あちこち周りながら、彼らはふとシャワー室が気になりました。
もう長いこと使われていなかったシャワー室はボロボロで…
だけどまだドアが残っていて中は見えません。
彼らは何かに引き寄せられるかのようにそのドアを開きました。
そこにあったのは…ミイラのようになった首吊り死体でした。
彼らは悲鳴を上げながら家に戻ると警察に連絡しました。
後で調べた所では、その遺体はわずか
死後2~3ヶ月であったにも係わらずミイラ化していたそうです…。
そう言えばあの年はとても暑い夏でした。
漁港が近いと言うことで腐乱した匂いがしても
魚の死んだ匂いだろうと誰も気が付かなかったのだそうです。
その亡くなった方は地元の人ではなく、
どこからか来た人だったそうです。
誰も知る人のない場所で死を選んだその人は…
きっと誰かに見つけて欲しくて彼らを引き寄せたのではないかと
そう思えるのです。
今では全て取り壊され現場には何も残っていません…。
あの人が無事に成仏したことを今は祈るばかりです。