学生時代の話

学生時代の話 怖い話
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学生時代の話

投稿者:搏撃の形さん

以下の話は大学時代の話です。
僕は、農村and丘陵地にできた新設大学に通っていました。
ですから約28年ほど前の話です。
下宿はというN市の東のハズレの新興住宅街でした。
N区の隣が大学のあるN町です。
この大学には、台湾からの留学生が多数いて
僕のクラスにも兄弟2人で台湾から来ているA君兄弟がいました。

特に、弟が僕と同い年なので仲よく付き合っていました。

A君弟の下宿はとあるマンションの最上階の一番西側の部屋。
A君兄弟は日本人では想像できないくらいお金持ちでしたので、
このマンションも3LDKの大きな部屋でした。

A君達はとても親日家でしたので、夜遅くまでいろいろな話をし気が付くと朝で、

皆そろってそのまま学校に行ったりしました。
A君は基本的にお酒が好きで学校の友達もお酒の友達、
趣味の友達クラスの友達、など沢山の日本人の友達がいました。

ある日、授業が終わって友人数人とA君弟の部屋に遊びに行きました。

大学が辺鄙な場所にあり、その頃はまだ公共交通があまり無かったので
車を持っていないA君兄弟を車を持っているクラスメイトが毎日、
大学がある町まで乗せていました。
しばらく部屋で話している内にA君弟が、
「今日は一階にあるお店でお惣菜を買って来て
夕ご飯は僕の部屋で食べないか?」というので

週末でもあり、皆(4~5人)そうする事にしました。
食事も終わり、酒を飲む連中は飲みだしました。
ちなみに僕は下戸です。

A君弟がいきなり「搏撃さん、幽霊って信じる?」って言うんです。

僕は「いや、信じないが、その様な現象はあるのでは?」って言うと
「台湾にはね、幽霊が出る場所がたくさんあるし、
キョンシーも本当さ。」って言うのです。
キョンシーは、その当時、流行ってました。
A君弟は、「僕は、本当によく幽霊を見るし、不思議な体験もする。」
って言うのです。
僕は「ふ~ん?」と聞いていると、「この部屋にも出るんだ。」
って言い出すのです。

集まっている友人の中に広島から来ているO君が
「搏撃さん、実を言うとね、僕は以前からA君弟の相談を受けてたんだよ。」
って言い出す。
「相談って何を?」って聞くと
「この部屋に出る幽霊のことで・・。」って言うのです。

確かに半月前あたりからA君弟は午前の授業によく遅刻していました。

訳を聞くと、夜中にいろいろあって寝不足が続いているらしいんです。

ここからは、現象を書いてみます。

A君が夜、お酒を飲みながらTVの歌番組を観ていたら
ウトウトしだしたらしいのです。
応接セットの長椅子に横になって半分居眠りながらTVを観ていたら、

いきなり耳元で幼い女の子の声で日本の童謡を唄うのだそうです。

もちろん、起きて周りを見ても誰もいないのだそうです。

TVの歌は、はっきり聞こえていたし画像も観ていたそうです。

後日、僕に「搏撃さん、日本の童謡を知ってるだけ歌って。」と言うので
知ってる限り唄ったのですがダメ。
結局、A君弟が思い出した、その耳元で姿の無い女の子が歌った唄は

「アカリヲツケマショ、ボンボリニ~」、ひな祭りの唄でした。

こうしてみるとお雛様もチョット不気味だしこの唄も不気味ですよね。

それは姿も表わすようで、A君弟が朝、学校に行く前、洗面所(バスの横)で

髭をそっていると鏡に映っている入り口の隅から誰かが覗くのだそうです。
性別は不明だそうで、振り返ってドアの向こう側を確認しても
誰もいないのだそうです。

A君弟曰く「幽霊は夜昼ないよ。」

A君弟が居間で寝ているとベッドの周りを「バキ!ビシ!」という

木の枝を折るような音がグルグル周るのだそうです。

事態は激しくなる一方なのでA君弟はO君に相談し、
O君の友人で霊感が強いT君を呼んで部屋を観て貰ったところ
T君が「僕では無理!」という事に。
A君弟、O君、T君で考えたのはその頃、駅前で勧誘している
「T教」だか「S教」の人達に相談する事でした。
T教だかS教の人達に相談すると、快く引き受けてくれ、
部屋に来てくれたのだそうです。

部屋に入った瞬間、その人達が「そこに座っている!」と言うのだそうで、
結局、その人達も「私達ではダメだ。」という事になり、
どうも除霊専門家を呼んできたのだそうです。

除霊専門家の説明では、霊が集まる場所に部屋があるのだそうで
今、寝ている居間は良くないので玄関の横の部屋に
ベッドを移しそこに寝るように指導されたのだそうです。

夜、霊がどんなに騒いでも無関心を装うようにとのアドバイスだそうです。

その夜、A君弟が寝ていると例の「バキ!ビシ!」という音が玄関から

入って来て寝室前の廊下を通り、居間に向ったのだそうです。
音は居間で一端止ったので様子を窺っていると、
また「ビシ!バキ!」という音を出しながら

その何かが戻って来て、A君弟が寝ている寝室の前で止ったのだそうです。

まるで「牡丹灯篭」か「耳なし法一」のような話ですが本当らしいのです。
A君弟がじっとしていると「バキ!ビシ!」はまた
居間に戻って静かになったのだそうです。

A君弟が「今日はこれで終わりか?」と思った瞬間、
居間の方で「ガタ!ビシ!バシ!ギーギー!」と
一晩中音がしていたそうで、A君弟曰く「まるで宴会の様!」

結局、除霊専門家の効力も無かったようで、こうなると大学内でも

噂になって「見たい!体験したい!」という人がたくさん出てきました。

実際、一晩部屋に泊まった長崎出身のK君達数人は実際に音を体験したようで

「姿は見えないけど、音が部屋中を周る。」と僕に言うのです。
ある日、僕がクラブ活動後(僕はN拳法部でした。)、
毎日立ち寄る喫茶店のマスターにその話をしました。

彼はやはり歳が近く「幽霊なんか絶対にいない派。」

M大学出身でバリバリの左翼活動家だった人です。現在は普通の人。
元活動家曰く「それでは今日、俺がそこに泊まってみる。
つれてって。」ということになり、
店とマンションは目と鼻の先なのでA君弟に電話を入れ
閉店後の12時過ぎ、

A君弟の部屋に僕と元活動家で行ったのです。

時間的には絶好の丑三つ時でした。

A君弟、元活動家、僕と部屋の中には3人だけです。
何も喋らず様子を見ていると、突然部屋の空中で
「バキ!」という音がしました。確かに僕も聞きました。

しかし、その後、何も起きないのです。

元活動家が「今晩、俺1人にしてくれへん?」と言うのです。

普段から幽霊やお化けを馬鹿にしているので、A君弟と僕は元活動家を部屋に残し、

その夜は僕の部屋でA君弟は寝ました。

早朝、A君弟の部屋に入ると、元活動家が笑いながら

「な~んにも起こらんよ。」と言うのです。

「音ぐらいしただろ?」って僕が言うと、「結局、あの一回きりだよ。」と言い、

かなりガッカリしたらしく「噂は聞いていたので期待したけどなぁ~。」
「やっぱり、こんなもんじゃないの、こういう話は・・。」
という事になりお開きになりました。

驚いたのは、次の日にA君弟が学校で言うのには「現象が消えた!」でした。

「元活動家さんが一泊したら、音も姿も何も起こらなくなった。」

「あの人、スーパー、マン。台湾で除霊の専門家になれる。」と言うのです。
この事を、お店でマスターに話すと
「搏ちゃん、本当に幽霊なんかいると思うのか?」って言うんで

「実際、原因は様々だけど現象は在るだろ?」って言うとマスターは

「俺は絶対信じないし、長閑な証拠だよ。」と言うのです。

結局、その後、本当にA君弟の部屋には何にも起こらなくなりました。

この話には落ちがあって、A君弟の部屋の真下の部屋に

やはり同じ大学に行っている神戸出身の女の子がいるのですが
その子の部屋に怪現象が移動したようでA君弟の話では
「幽霊が引っ越した。」のだそうです。

この女の子の部屋に関しては学年も違うのでどうしたかはわかりません。

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