写りこんでしまった顔

写りこんでしまった顔 怖い話
写りこんでしまった顔

写りこんでしまった顔

投稿者:ちぃぼーさん


義姉と姪がお盆休みを利用して関西に遊びに来ていたので、
私たち家族と義母と一緒に近くの某ホテルの中にある
日本料理のお店に行った時のことです。

行く寸前までお腹がすごく空いていたんです。

でも、車が目的地に近づくにつれ、だんだん気分が悪くなってきました。

予約を入れた部屋は畳敷きの広い落ち着いた雰囲気の個室でした。
本格的な懐石料理で、まず最初の膳が出てきたとから
身体の具合がおかしくなってきていました。
お腹が痛くなり、体中が苦しい。
スカーフにネックレス、腕時計など、
体につけているものは全てはずしてしまい、
暑くもないのに脂汗が出てくる。そして全身に鳥肌が。
食事はまったく箸をつけることは出来ず、
肉料理が出てきたときには、吐き気もしてきて、

何度も席をはずしてトイレに駆け込むけれど吐くに吐けない。

こんなことは初めてのことでどうしていいかわからず。

また皆に気を遣わせてしまい、気まずい思いをしました。

それが・・・・
帰りの車の中ではさっきまでのことがまるでウソのように
すっかり元の調子を取り戻し、急にお腹が空いてきたのです。
そんな不思議な体験から1年ほどたったある日、
東京の義姉から写真が届きました。
あの時写真を撮っていたのです。
その写真を見ながらその時の記憶が蘇ってきました。

中央のテーブルをはさんで皆の顔が並んでいます。

精気のない顔をした私・・・・。

「やっぱりな」
と思いながらなんとなく見ているうちに、
ふと下のテーブルに映された皆の顔に目が行きました。

個々の顔が下のテーブルに映っているのですが、

「これは・・・・?」

主人の下に映し出された顔が主人ではなく別の誰かだったのです。

中年の女性のような風貌でした。

その写真は、捨てるに捨てられず、見るのも恐いので
今でもたんすの引き出しの奥にしまわれたままです。


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