投稿者:シオンさん
これからお話する体験は、後になって気付いたものです。
今から15年前くらいのことですかね。
私は当時、団地に住んでいました。
かなり古びた団地だったことは覚えています。
古いせいか入居者はあまりいなかったと記憶にはありますね。
当時5~6歳だった私は、上の階の男の子とよく遊んでいました。
近くの公園に遊びに行ったりなど、ぼんやりとしか覚えていませんが、
確かに男の子と遊んだことは覚えています。
不思議とその男の子と遊ぶときは周りに他の友達はいなかった・・・
と記憶しています。
ある日、父の仕事がもとで隣町に越すことになりました。
引越しの前日、私は母に○○くんにお別れを言ってくる!
と言ったそうです。そして母が、どこの子?と聞き返し、
私は上の5階の○○くん!と言い残し、
家を飛び出したそうです。
このとき母は気付いていたようでした。
その日、その○○君の家を訪ねた私ですが・・・彼はいませんでした。
インターホンを鳴らしても誰も出てきません。
あきらめた私はとぼとぼと家に帰り、
次の日、○○君にさよならを言えないままその団地を後にしました。
そして団地を去って8年後くらいに、
ちょうど私はその団地(今はないみたいですが)の前を通り過ぎ、
帰宅した私は母に懐かしいねと話しました。
すると母は、思い出した!と言い、その当時の○○君の話をしてくれました。
母の記憶によると、私達が住んでいた団地の棟には
子供は私1人しかいなかったそうです。
5階の○○君にさよならを言う。
私のその言葉を聞いてずっと母は疑問に思っていたと
初めてその日に話してくれました。
今思うと、あの日遊んだ○○君は誰だったのでしょうか?
よくよく思うと・・・その○○君は誰も知らなかったのです。
遊んだのも私だけのようでした。
私は比較的、記憶力はいい方だと思うんですが、
どうしてもその男の子の名前を思い出すことができません。
私が昔、遊んでいた男の子が・・・
もしもこの世の人ではなかったら・・・と思うと今は少し怖いですね。