山のお地蔵さん

怖い話

山のお地蔵さん

投稿者:はっさんさん


これは、ワタシが中学生のときのことです。

夏休みに伊豆七島の神津島へ友人と4人で遊びに行きました。

確か1週間くらいの滞在だったと思います。
現地では船での移動、キャンプ生活、
自炊など今まで経験した事のないことばかりで、

大変ながらも非常に楽しい日々を過ごしていました。
 
ある日、キャンプ場の裏にある山(島で一番高い山)に登ろう、
と言うことになり、朝早くにキャンプ場を出発しました。

キャンプ場を出てすぐの路傍に『お地蔵さん』がありました。

お地蔵さんの足元にはお菓子や饅頭や草花、
そして小銭などが供えてありました。

そんな事とは予期しなかった私たちは(なにぶん中学生、純真な心です)、

みんなでお地蔵さんの前に並び、一心に手を合わせたものです。
山も苦しいながら無事登頂でき、
帰り道にまたそのお地蔵さんの前を通ったとき、

数人の少年がお地蔵さんの前にたむろしていました。
「こんなところに誰がお供えなんかしてんのかなぁ。ばっかじゃねえの?」

中の一人が大声で言っています。
「金もあるじゃん!取っちゃえ取っちゃえ!」

そして供え物の中から小銭を集める音がします。
少年とはいえ、自分たちよりは年上
(高校生くらい?)だと思われる彼らの所業に、

私たちは腹立ちながらも、黙って横を素通りしました。
 
キャンプ場に戻り、夕食の支度をしていると、
我々のテントから少し離れた所に

昨日までなかった新しいテントが張られていました。
そこに先程お地蔵さんの前にいた
少年たちが帰ってきて、バカ騒ぎをしています。
我々は、「うるせえなぁ」とは思いつつも、
注意もできず、我慢をしていました。
 
次の日、キャンプ場からバスで移動し、
島で一番きれいな浜でみんなで泳いでから、

「そう言えば島に着てから一度も自宅に電話していない」と言う話になり、

公衆電話からそれぞれ自宅に電話をしました。
ワタシが自宅に電話すると、母親が開口一番、
かなり焦った様子で
「よかったぁ。お前大丈夫なのか?怪我はないのか?」と聞いてきます。
何のことかわからず聞いてみると、今日午前中、
我々がテントを張っているキャンプ場で爆発事故があり、
少年数人が重傷を負っていると言うニュースが流れていて、
心配で仕方なかったとのこと。

親に大丈夫な事を強調して、電話を切りました。

そして夕刻、キャンプ場に戻ってみると・・・・
そうです。あのお地蔵さんの前のお金を盗み、
昨夜夜中まで騒いでいたテントの場所には

すでにテントがなく、代わりに警察官が数名うろうろし、

少しくぼんだテントのあった場所を現場検証していました。
 
その爆発があったのが、そのテントの場所でした。
何が、なぜ爆発したのか、まったく状況は
把握できませんでしたが、我々4人は

「誰が彼らを叱ったのか」ははっきりとわかっていました。。。。。


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