おん・ころころ…

おん・ころころ… 怖い話
おん・ころころ…

おん・ころころ…

投稿者:B-HEARTさん

唐津の配送先に大きな老犬がいます。

この仕事を始めてから約6年、家の都合で
ペットが飼えない環境にあって、動物好きの私としては
「癒し」の場所となっていました。
お客さんの所は主に「魚」を専門としたお店ゆえか、
老犬に舐められると顔中が魚臭くなります。
でも、そんなひと時が幸せ…。
さて、このお話はH17年の2月の出来事なんですが…
その日、冷たい雨に打たれながらその老犬は
小屋の外に倒れていました。

二日前に来た時は、あんなに元気だったのに…
話を聞けば前日、その老犬は急に胃の中の物を
吐いて卒倒し、それから全く動かなくなったそうです。
お客さんももう18年も生きてきたので「寿命」だと
思いながらも獣医に診せた所、原因が「フィラリア」で
あることが判明、大きさ故、犬小屋に戻す事も出来ず
薬も拒絶、仕方なく今の状態で放置していたそうです。
私が来た事が解ったのか、目が微かに反応する…
まだ生きている。
力ずくで犬小屋に戻すと、頭に巻いていたタオルで
老犬の体を拭き、左手で気を送りながら
薬師真言を涙声で唱え続けました。
…小一時間程経過した頃だったか、
今まで動く事も無かった老犬は寝返りをうち、
重たい首を上げ私の左手を舐め始めました。

後日、「助けてあげたい」という気持ちが通じたのか、
其れから徐々に体力を取り戻した老犬は、
すっかり元気になり、今日も魚臭い舌で
私を歓迎してくれます。
あぁ…幸せ。
追記
人は何等かの外傷を受けた時、その傷を手で覆う。
大昔から反射的に行う人間のクセ。
其れは手から発する「気」の力が傷を癒すから…
「手当て」とは本来、こういった意味合いを持った
言葉なんだそうです。
以前BBSで、「気」は作り方次第で『剣』から
『水』まで何でも出来ますって、書き込んだ事
がありますが、全ての原動力は
「身の内に秘める想像の力」に在るといえます。
この話の中で、薬師真言を唱えている間中
頭の中では「薬壺」を現し「我が気は薬師の薬壺、
万能の霊薬也」と気を送っておりました。
『仏』とは感情の具現化、身の内に或る
『薬師的力』を引き出す事で自らの気を「薬」に
変えたわけです。
作り方の要領はこんな具合。

次へ   メイン
タイトルとURLをコピーしました