投稿者:GT-Rさん
数年前、北海道のある山に行ったときのことです。
デジカメで風景を撮っているうちに、
森の奥に入ってしまったらしく、道に迷ってしまいました。
コンパスや地形図とにらめっこしていたとき、
何かに見られているような気がしたのです。
(もしや熊さんか?)
おそるおそる、気配のした方を向くと、
私から20メートルほど離れた位置に一人の男が立っていました。
これ幸いと道を聞こうとしたとき、男の格好にピンときました。
赤色のベストと帽子。腰に巻かれた散弾の帯。
手にはポンプ式のショットガン。
まさにハンターの格好だったのです。
男は無表情のまま銃をこちらに向けました。
とっさに身をかがめたとき、轟音とともに
目の前の木の幹がはじけ、頭に降りかかりました。
ひたすら必死に斜面を駆け下りる私の後ろで、
ドン、ドンと銃声が響いています。
どこをどうやって、どのくらい走っていたでしょうか。
目の前が開け、炭焼き小屋にたどり着きました。
小屋の中に飛び込み、中にいた老人に助けを請うと、
「あんたも見たんかね・・・」と言われたのです。
なんでも、以前この山で、ハンターが突如気が触れたようになり、
同行していたハンターや猟犬を射殺した後、頭をぶち抜いて自殺したそうです。
「ちょうど今の時期じゃった。逃げ延びた者の話じゃと、
まるで熊を撃つように淡々と銃を撃ちよったそうじゃ・・・、
ま、あんたの見たもんが本物ちゅう可能性もあるでな、
そのあたり見てくるわい。」