自転車のベル

怖い話

投稿者:さん


私の実家の裏庭には、私が小学生くらいの時に
何度か乗っていた、赤い自転車が置いてあります。
ただ、乗らなくなってからもう15年以上経つので
覆いをかけているものの、塗装は剥がれかけ、
ペダルや車輪も泥だらけになっています。
ところが、ある日の夜、その自転車のベルがひとりでに
鳴っているのがはっきりと聴こえたのです。
まさか、侵入してきた泥棒がいたずらしているとは
考え難いのですが、念の為に隣室で父と寝起きしている母に
相談してみようと両親の部屋に入り、自転車のベルの件を
話しました。
しかし、母は「都市伝説とか怖い話の本ばかり読むから、
そんな夢を見るのよ」と全く耳を貸してくれません。
それから、渋々自室へ引き返した後も、
自転車のベルは鳴り続けていたのです。
そして、ふっと眠りに就いて気が付くと既に朝になっていました。
内心ホッと胸を撫で下ろしましたが、
これほど不気味な夢は見たことがありません。
モノは長い間使い込まれると魂が宿って、
九十九神になるという話を某妖怪漫画で聞いたことがありますが…。

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