投稿者:萌子さん
私は、ある古いホテルに勤めています。
古いといっても高層の今でも婚礼などが
行われる人気のホテルです。
ちょうど、5年前くらいでしょうか、
隣に大きなデパートが出来る事になりました。
建設中、ある事件が起きました。
そのデパートの骨組みが出来たとき、
私のホテルに泊まっていたお客様が、
夜中に忍び込み、飛び降り自殺をしてしまったのです。
その日が土曜日だったため、遺体の発見は月曜日になってしまい、
異臭にみちていたそうです。
つい最近、その事件の話も薄れてきた頃、
私がこのホテルに当番で泊まらなくてはいけなくなりました。
私も事件の話はすっかり忘れて、
「今日は当番かぁ」なんてのんきに、
ある客室に泊まる準備をして向かいました。
そこへ友達がきてコソッと何か言いました。
よくは聞こえなかったものの、確か、
「今日ってあの、事件が起きた日じゃん?」
と言った気がします。少し怖い気もしましたが、
その日は仕事が忙しく疲れきっていたため、
部屋に行くとすぐにシャワーを浴び、ベットに入りました。
突然目がさめました。時計を見るとちょうど2時。
友達の言った事をついつい思い出してしまい、ドキドキしてきました。
そういえば、この部屋はデパート側で、
ドアを開けて下を見たらあの現場が見える場所でした。
そして、怖いながら窓の方を見ました。
カーテンが閉まっていて、外は見えず少しホッとしました。
するとその時!!
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
上から下に落ちていくような叫び声が聞こえたのです。
怖くなった私は、電気をつけて鍵を握り、
ドアを開けて飛び出しました。
廊下はずっと電気がついているし、目の前の部屋には、
お客様が泊まっていました。
息を整えて、汗ばんだ手が握る鍵を見て驚きました。
その鍵に書かれた部屋番号・・。
それは、あの日、自殺をしたお客様が泊まった部屋だったのです。
遺書が置かれていた・・・あの部屋だったのです。
あの叫び声は・・やはり、あのお客様だったのでしょうか・・?