徳島の家

徳島の家 怖い話
徳島の家

徳島の家

投稿者:きろん豆腐店さん


私は生まれは京都ですが、父の仕事の都合で
小学校4年~高校卒業まで、徳島県に住んでいました。

その家で体験した話です。
1.玄関のコンクリのシミ
この家では犬を飼っていて、昼間は庭に出していましたが
夜は玄関に入れていました。

ところでこの家の玄関はコンクリートなのですが、

なぜか一ケ所だけいつも20cm四方くらいの正方形に濡れていました。

どんなに乾燥した日でもその正方形の部分だけが濡れているのです。
そして犬が、その正方形を大変気にしているようで、
その部分だけには絶対触らないようにしていました。

足を着こうとしてハッと気付いたように避けるような仕種もしていました。
この家が建つ前は何があったのか分りませんが、
犬のこの動作が気になりますね。

2.ラップ音
このくらいの話はどこでもよくある事で、
さして怖い事はないと思うのですが、
この家、夜中によく部屋のまん中あたりから
「パチッ!パチッ!」と音が聴こえて来ました。
また誰かが窓の外から覗いているような感覚にも
何度も遭った事があります。
でも家族の中には誰も霊感など持っている者はいないし、
誰か病気になったとかそういう事もなかったので、

気にはしていませんでしたが。

3.夜中に足を引きずって歩くオバサン達の霊
心霊の事には詳しくないのでよく分らないのですが、
これは恐らく「喧噪霊」というやつなのかも知れません。
これは、私がこの徳島の家で経験した、一番怖い話です。
というか、生涯で3本の指に入る恐怖霊体験でしょう。
この家は細い袋小路の突き当たりに、数軒の家が並んだ
ちょっと変わった形の土地のまん中あたりにありました。
引っ越してすぐの頃はまだ小学生で、
あまり夜遅くまで起きていたりする事はなかったので気付かなかったのですが、

中学生になって、受験勉強などで夜遅くまで起きているようになった頃、
時々夜中の2時頃に2~3人のオバサンと思われる
人たちの話し声、笑い声、足を引きずるような

「ズシャッ、ズシャッ」というような足音が聴こえて来る事があるのに気付きました。
最初は誰かこの辺のおばさんたちが、夜中にジョギングでも
して帰って来たのだろう、くらいに思っていました。
しかし考えてみると、夜中の2時にジョギングというのは
余りにも非常識な時間。
それも複数のおばさんたちがけたたましい笑い声をたてながら
歩き回っているというのも迷惑なハナシです。

そこで、一体どこのオバハンが夜中に騒いどんのぢゃい?

と、隣の家のお姉さん(当時高校生)と一緒に、

近所の家の人たちに「夜中に散歩なんかしてますか?」と訊ねてみました。

でも、誰もそんな時間に出歩いたりはしていないというのです。

それどころかあろうことにその近所のおばさんたちは、

私とそのお姉さんが夜中遅くまで遊び歩いているのだと思っていたのだそうです!

つまり、みんながその声や足音を聞いているのです。

しかもおかしな事に、先に書いた通りこの土地は袋小路になっていて、

入って来たら元来た道を戻らないと公道へは出られないのです。
なのに、入って来た時の音だけしか誰も聞いていない。
だから皆その土地の中の人だと思っていたのです。

でも、誰も知らないという。

そこで、次にそのおばさんたちの声が聴こえて来た時、注意して聞くようにしました。

するととてもおかしな事に気付きました。

おばさん達、その土地の中のどの家にも入る様子はないのです!
もし夜中にジョギングとか散歩に出ていて帰って来たのなら、
「じゃあねー」とか挨拶くらいはするだろうし、
その辺りの家はみんな昔風の木造家屋でガラガラ戸だったので、
戸を開ける音も聴こえて来るはずです。
でもそれが一切ないのです。
突然袋小路の入り口から降って涌いたように話声と足音が近付いて来て、

うちの家と隣の家の間あたりで突然フッと消えてしまうのです!
それと、それだけ至近距離で話していながら、
話している事の内容がさっぱり分らないのです。
話している声はものすごくハッキリ聴こえているし、
笑い声などは判別できるのですが、

会話というか言葉が全く聞き取れないのです。
イントネーションから日本語である事は分るのだけど、
笑い声以外はよく分らないのです。
何より気味が悪かったのは、会話の内容を聞き取ってみようと
ラジカセを回して録音していたのに、
何も入ってなかった事でした…。
虫の声などは入っていたので、録音ミスではありません。

結局、その声がしている間は時間も時間だし、
あまりにも気味が悪いので外に出て
確かめるというような事は誰もしませんでした。
また、よその人が入り込んでくるとよく吠えた犬が、
その声に対してだけは全然吠えなかったのも不思議でした。
しかし声の正体を確かめない内にその地区に道路を引く話が持ち上がり、
その辺り一帯の家は取り壊しになりました。
そして新しい団地に移り、私は大学進学のため大阪に引っ越し、
声の正体を確かめる機会を永遠に失いました。

…とまぁこの家では色々不思議だったり無気味だったりする体験をしたのですが、
いずれも悪い霊ではなかったらしく、この家に住んでいた頃はよく
母が懸賞を当てたり、宝くじ(といっても10万円ですが)を当てたり、
父も研究で色んな賞を取ったりしてました。
私も大学入試の時「絶対無理」と言われていた
第一志望の学校にストレートで合格したり、
拾って来た犬もものすごく賢かったりと、なにをやってもうまく行く、
良い事づくめだったように思います。
この地区を守っていた、昔からの霊だったのかも知れませんね。


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