学校の古井戸

これは私の姉から聞いた話です。

姉と私は６年も年が離れています。

私が中学生の時でした。

そう、あれは１４年ほど前でしょうか。
私は○○市立○○第○中学校に行っていたのですが、
その中学校の中庭に古い井戸がありました。

井戸には蓋がしてあり、使われなくなって数年が経っている様子でした。

あれは夏の日差しが残る、残暑が厳しい９月頃のことでした。
当日、まどからボールを投げたのを新しく赴任してきたばかりの
校長先生に見つかり、私は校長室に呼ばれていました。

そこでお説教を受けていたのです。

ぼけーっと私はぼんやり壁を眺めていました。

そこには歴代校長の写真が飾ってあったのです。
普通、６～７年おきに先生は変わるのですが、
何故か１年単位で変わった校長先生が何代か

続いている事に気づいたのです。

中には数ヶ月でやめた校長先生もいたようでした。

「何処見てんだ！」校長先生に怒られ、その後もお説教は続きました。

短期間で校長先生が変わったのは５人ほどでした。

家に帰ってその話をすると、姉がこう言いました。
「しょうじ。中庭に古い井戸があるやろ？
あれはね、お姉ちゃんが行ってる時は使ってたんだよ。

昔、その井戸の中に女生徒が落ちて死んだって噂があってね。

その当時の校長先生が井戸に蓋をしようって決めたの。
実際に蓋をしようとしたらね、
お姉ちゃん達もかわいがっていた犬が急にうなって

校長先生にかみついちゃったの。

丁度、市の職員さんと話してた時にね。

その怪我が元で入院しちゃって校長先生は交代したのよ。
次の校長先生も、あんまりにも井戸から幽霊が出るって噂があって
生徒が怖がるもんだから、井戸に蓋をしてふさごうって言い出したの。

そして今度は蓋をしたのよ。

蓋をした次の日。校長は急病で死んだの。
その次の校長はね。
井戸を埋めて更地にしようって考えたの。でもダメだった。

それを話し合う前に、交通事故で死んじゃったの。

こんな事が何代か続いて、もう井戸には触らないようにしようって事になったの。」

私は驚きました。

だって、新しい校長先生になり、その１週間後のことでしたから。