十二単の女

十二単の女 怖い話

 

十二単の女

投稿者:B-HEARTさん


何等かの対策を採らなければ、
私の体は払っても払っても霊体が入って来る、
御蔭様で退屈する事は無い日々を送っております。
さて、今回は『』の数日後に憑依した
意外な霊についての御話です。

配送途中トラックの中で、余りにも酷い
眠気に襲われました。
30分に一度のペースで仮眠しながらの
仕事を余儀なくされ、その日は帰宅が
遅くなってしまいました。
一体何なんだ?と思いつつ
ベッドに入る前に霊視を試みてみると、
十二単を着た女が私の所に来て座っているではありませんか…。

其れは何時の間にか捕り憑き、
私の気を吸い取り続けていた様子、そこで
「私に捕り憑き、何を求めるのか?」と
問い掛けた所、
その女の口が裂け始め、ニヤリと笑うと
その姿は消してしまいました。
訳が判らない状況に戸惑いながらも、
私はその日気絶した様に眠りに就いていました。
次の日曜日、私は師匠に緊急の呼び出しを受け
参上した際、例の『十二単の女』の話をしました。
師:「…あぁ、確かに憑いちゃぁいるけど、別物だよコレ」
どういう訳か私と師匠の霊視結果が割れた、
私:「別物かぁ、俺にはどう観ても十二単の女にしか見えんがねぇ」
師:「ほぅ…そう観えるか、じゃぁ驚愕の事実を知るがよい」
師匠はそう言うと私の肩から霊体を引き離し
其れにある手法を施した。
するとどうだろう、今まで見えていた十二単の女は
次第に口が裂け始め、着物はまるで
パズルのピースが剥がれ落ちる様にバラバラと消え、
そして最後に現れたのは4本の尻尾でした。
師:「此れで判ったんじゃない?」
私:「あぁ、茶色の狐が…って、此れってまさか『野弧』か!?
…うわぁ~ムカツク、俺は今まで化かされてたって事か!!」
何かの昔話でよく聞くオチだが、
実際に我が身に起ると何とも悔しい、
更に尻尾4本分の気を私から奪っていたのだから
もう踏んだり蹴ったり、眠気に襲われるのも
当然の結果だった。
ともあれ、我が身が無事なら許してやろうという事で
この後『野弧』は逃がしてあげました。
狐憑き初体験、こんな経験はもう二度と御免です。

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