おむつ塚。
桃の花の咲く中、ひっそりとその塚はありました。
この奇妙な雰囲気の塚にはこのような伝説があります。
室町時代、とある庄屋(もしくは地頭、いずれも地元の有力者)がおりました。
その地元におむつという女性が嫁いでくることになりました。
その庄屋は好色(大変な女好き)で有名でした。
おむつがお嫁にくるというので挨拶に庄屋の屋敷に来させました。
おむつの美貌に庄屋はなんとか自分のものにしようと、
屋敷内の牢屋に閉じ込めます。
庄屋は何度も関係を迫るものの、おむつはうんと言いません。
やがて庄屋は毒蛇やムカデと一緒に生きたままおむつを埋めてしまいます。
娘が帰ってこないことを心配したおむつの母は、
「おむつが手討ちにされた」と庄屋の部下に聞き、
庄屋の屋敷の裏の畑でおむつが生き埋めになった盛り土を発見します。
おむつの母は栗の実をばらまき、庄屋への呪いの言葉を口にします。
「庄屋を末代まで祟ってやる。」
そのままおむつの母も絶命してしまいます。
その後間もなく庄屋の家は怪異に遭い、
庄屋の子孫がこの「おむつ塚」を作り供養しました。
しかし庄屋の家は没落して血筋が絶えてしまったと言います。
桃の木畑の中、ぽつんとあるその塚には
おびただしい数の石仏が祀ってあります。
六地蔵が4対…。
実は正直大変不思議な光景なんです。
六地蔵という、よく処刑場跡などに建立される
供養のためのお地蔵さんがあるのですが、
このおむつ塚にはその六地蔵が3、4対ほどあります。
この写真でわかる六地蔵は3対。
道路拡張で付近のお地蔵様を
一ヶ所に集めて供養する事はありますが、
そうであったとしても、少し異常な感じがします。
今でも7月15日に供養祭をとりおこなっているようです。
山梨版「四谷怪談」と言った感じでしょうか…。